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分つ道 [詩のようなもの]

 先生が逝った。廻り回って一ヶ月以上も経て
私の耳に届いた。先生と言っても私がそう呼ん
でいるだけで教師でも医者でも弁護士でも無い
。何故先生なのかと言うと物言いが常に「上から
目線」だからなのだがその仕草や表情が柔らかく
また優しいので憎めない。
 或る時、先生が「君はシギチの中で何が一番好
きなの?」と訊いて来る。「そうですねやはりコアオ
(コアオアシシギ)でしょうか」と答えると「其れはイイ
ネ、僕も好きだよ」と言う。「先生はどうなのです?」と
問うと「イヤアー其れは秘密だな」なんて言う。そんな
ことに秘密も何も有るのかい・・・と呆れながらも先生
の屈託の無い笑顔を見るとほのぼのしてしまうのだっ
た。数年前先生と最後に会った干潟での事。目の前の
コチドリを見ながら何を思ったのか「コアジサシはイイ
ネエ」と言い出す。私は否定はしない。だって先生は
どこか記憶の中のコアジサシを見ているのだから。
でも少し意地悪して「何でイイのですか」とたずねると
「何だか分からないけどねえ・・・・」と無邪気に笑いな
がら言う。

「先生コアジサシですよ」
20130706コアジサシ1.JPG

「先生コチドリも居ました」
20130706コチドリ1.JPG

先生に捧ぐ
   
  「分つ道」  詩 by Bird Echo

 「遣る瀬無く     
 日々は移ろい
 褪せし夢に  
 痛み覚ゆ   

 ざわめきも  
 流転の中で  
 爆(は)ぜて無辺の
 空に去りぬ  

 何が故の  
 臆病気分   
 プイと横向く  
 運命呪い     
 赤や黄に    
 染め交じりたる  
 人の列に    
 コソリ隠れ   

 添いし道   
 また分かつ道  
 つくねんと立つ 
 朧なる道    

 誰や知り得(う)る  
 輪廻の手品(てづま)  
 何時かまたあの  
 分かれ道で    
 訊きそびれ   
 しこりのように  
 胸に潜む     
 言葉の続きを」

この詩には曲も付けて有るのだが
自分で作ったにもかかわらず自分で
上手く歌えないと言う情け無いことに
なっている   

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さとし

いつも山ばかりなので、水辺の鳥さんたち新鮮です。

by さとし (2013-07-13 20:02) 

ramblin

さとしさんのフィールドは山がちですからね。
季節は夏真っ盛りですけど「シギチ(シギや
チドリの類を総称してそう呼びます)」的には
もう「秋の渡り」が始まっています。たまには
気分を変えて海辺へ出撃したらどうでしょう。
「三番瀬」とか・・・・へ。
by ramblin (2013-07-13 20:42) 

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