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間違いに至る病 [野鳥]

 この日、県内の遊水池にハジクロ(ハジロクロハラアジサシ)が
来ていると言う事なので行って見た。此の地では個体を見下ろしで
観察出来るので上面の羽衣が見易い。生憎の曇天だが昨今の天気事情では
仕方あるまい。

でもね・・・此れはハジクロでは無い
20191019クロハラアジサシ22.JPG

上面に幼羽の茶褐色斑が虎柄模様に見える幼羽→1回の個体は
クロハラ(クロハラアジサシ)と思って良い(ハジクロは暗色のワントーン気味に見える)
20191019クロハラアジサシ27.JPG

かなりの数を撮ってみたが
総じて上尾筒は尾羽よりやや暗色傾向に有って
腰の色みが尾羽より白いとされるハジクロには合致しない
20191019クロハラアジサシ44.JPG

嘴も短く見えるが
BIRDER誌2014年10月号49ページの写真6の
クロハラ成鳥と幼鳥が隣り合わせている画像のように
幼鳥の嘴は明らかに成鳥よりも短く
ハジクロの特徴とは言えない
20191019クロハラアジサシ50.JPG

ではこの個体を見た多くの方がこの個体をハジクロと思ってしまうのか
その一つの要因は眼の後方に有る黒斑が眼より下に垂れ下がっていると言う
ハジクロの特徴に由来するのだが
此れは嘗て氏原さんがブログ上で指摘された通りクロハラの幼羽や1回にも
当てはまる特徴なので有効な識別点とはなり得ない(古典的な話なのだが)
20191019クロハラアジサシ21.JPG

それよりも皆さんを間違いに誘導してしまう大きな要因が有った
其れはこの個体の出現より10日前位だろうか
成鳥のクロハラが此の地に滞在していたからだろう
体下面の黒斑を残す個体の印象が強く
その後現れた体下面に斑の無いこのクロハラを異種と認識してしまったと思われる
まるで此れはデジャブーのようなのだが
同じような事象が2014年のこの時期にも有って同じような間違いが有ったので
尚更その経験値が誤りの踏襲となってしまったようだ
この事は自戒を込めて言っている訳で
多くの人が述べている事が正しいなんて言えないこともまま有るし
現場に行く前の予習もしっかり行い
信ずるべき土台を保持して出掛けないとイケナイと思った
20191019クロハラアジサシ30.JPG
20191019クロハラアジサシ25.JPG
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